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僕の心の言の葉。

短い自作小説、作文のブログです。多くの人に言葉が届いてくれたら嬉しいです。

『ライアーライアー』

彼女は嘘つき。

ケガをしたとか熱があるって言って、僕を慌てさせる。心配させたかっただけと言うけれど、本当に調子が悪い時もあるから彼女は手強い。心の調子が悪い時もある。だから側に居てあげよう。

 

彼女は嘘つき。

待ち合わせをして彼女は少し遅れてきた。寝坊しちゃったと彼女は言うけれど、彼女が今日のためにいろいろと準備していてくれたことに僕はサプライズされるまで気づかなかった。僕を祝ってくれた時の彼女の満面の笑みを僕はずっと忘れることが出来ないと思う。

 

彼女は嘘つき。

普段からしてるからこのくらい普通だよ。そう言って作ってくれた君の手料理。親指に巻かれた絆創膏が、珍しい君の強がりを教えてくれて僕はとても幸せに感じた。

 

彼女は嘘つき。

ある時突然別れようと彼女は言った。どうせいつもの嘘なんだろうと僕は思った。そう信じたかった。僕は彼女の顔を見た。いつもの嘘をついた後の笑顔だった。でも彼女は何も言わなかった。僕は彼女の目に微かに光るものを見た。

なんで。そう言った。好きじゃなくなったの。そう答えた。そうか分かった。僕がそう言うと、彼女は僕に背を向けて遠くへ行ってしまった。本当に言いたかったことは何一つ言えなかった。

僕も嘘つきだ。

 

彼女と再びどこかで出会えたとしても、きっと僕は素直になれない。君もきっと全ては素直に話してくれないだろうな。

結局僕らは嘘をつき続ける。僕らはきっとそれで良いんだ。

 

 

あとがき:切ない話を作ってみたくなりました。

上手く出来ているでしょうか。嘘というのは人を傷つけるだけでは無くて相手を守るためにもあるのかもしれません。でも、その嘘は本当は真実かも…。その真実は嘘かも…。そういう風に思い始めたら、きっとその相手を素直な目では見れないですよね。出来る限り本心で語り合いたいものです。その相手が大切な人であるなら尚更…。

それではまた別の文章で。