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僕の心の言の葉。

短い自作小説、作文のブログです。多くの人に言葉が届いてくれたら嬉しいです。

『サイドN』

 朝起きて伸びをする。まだちょっと眠い。こたつでもうひと眠りしようかなと思い、歩いて行くと先客がいた。見覚えのある服装にちょっと癖のある髪の毛。どう見てもこの一家の主その人である。私もこたつに入ろうと思った時、偶然頭に疑問が浮かんだ。

(なぜこの時間にここにいるのだろう。)

 昨日の彼はちょっと機嫌が良かった。とても遊んでくれたし、ちょっといつもより良いご飯だった。私の頭を撫でて元気が出るなぁと言ってくれたとこまで覚えている。私はそのまま寝てしまったのだろう。つまり彼もそのまま寝てしまったのだろうと合点がいく。

 まずい。私は記憶を巡らしている内にあることに気づいた。つまり彼は寝坊しているのだ。いつもなら私が起きる頃にちょうど出掛けて行く。

 起こさねばならない。私はそう思い、彼に近づいて声を掛けてみる。彼はピクリともしない。次に肩を叩いてみた。彼はうーんと唸りながら大きく寝返りをうった。危ない!彼に押し潰されるところであった。彼を起こそうとして命を失ったのでは笑い話にもならない。そもそも笑えないか。いやいやそんなことを言っている場合ではなかった。私は気を取り直すと少々強引な手段を取ることにした。彼の顔を自慢のパンチで殴る。1発、2発、それでも彼は起きない。彼の上によじ登りパンチを繰り出した。渾身の一撃。しかし彼は強かった。起きない。一向に起きる気配が無い。

 すまない。私は心の中で先に謝った。彼の為に私は最終手段を取ることにしたのだった。

 

 「痛っ。」私は頬の痛みで目を覚ました。手を当てると小さな傷がある。恐らく私の家族の仕業だ。叱らなければと思った。

 「にゃー。」

鳴き声が聞こえる。私の大切な家族は置き時計の隣に申し訳なさそうな顔をして座って居た。時計に目が止まり、私は驚いた。まずい、寝坊だ。急がなければ。私はスーツを取りに行こうと立ち上がるとなぜ家族がそこに居たのかに気づいた。私は感謝の言葉の代わりに頭を撫でであげた。

 家族は満足そうな顔を浮かべると、こたつの中にくるまって小さな寝息を立て始めたのだった。

 

 

あとがき:昨日は2月22日、ニャンニャンニャンの日だったということで、1日遅れですが猫をテーマに書くことにしました。下手に名前を決めない方が良いと思ったことと、家族ということを強調したかったのでこのような文章になりました。読者様の家族の名前を当てはめて読んで頂ければ幸いです。それではまた別の文章でにゃー。