『檻から出ていつか』
今週のお題「卒業」
どこに行っても君との思い出があって辛い。君はもう私のことなど忘れていて、私が知らない誰かと仲良く笑っているのかもしれない。
ずっと君のことを忘れたいと思っていた。でも最近それは違うんだってことに気づいた。君のことを忘れたくなんてないんだ。ただ勝手に私が君に囚われて1人で抜け出せないでいるだけだった。
高いところから街を見下ろした。ここにも君の面影がある。だけどミニチュアみたいな街を小さな小さな人の命で溢れ返っているのを見て、私が何よりも小さかったのだろうと思った。
頑張ろうと思った。何を頑張るかは決めてないけれど。それでも私は今したいことを精一杯楽しんで精一杯生きようと思った。
今ここにいるのは過去の自分を含めた上での私自身なのだ。だから進む。立ち止まる訳には行かない。時々振り返る。必ずそこには君の面影があるだろうけど、それは過去の君でしかない。だから進め。
そしていつか。いつかきっとどこかで君と出会えた時に、笑ってあの時の日々を話せる自分でいたい。私は1人、冷たい夜空の空気を深く肺まで吸い込んだ。
あとがき:卒業というテーマを見た際に、卒業という言葉を使わずに卒業を表したいなと思いました。過去の自分からの卒業。これは半分私自身のことでもあります。言葉に起こすと心に強く刻むことが出来ます。強い私になりたい。読んで頂き有難うございます。それではまた別の文章で。