僕の心の言の葉。

短い自作小説、作文のブログです。多くの人に言葉が届いてくれたら嬉しいです。

『花粉病』2話

 1年後。薬が治験途中ながら完成した頃。花粉は突然変異を遂げた。1番の変異は繁殖力であった。花粉は人の技術を、数の力でねじ伏せようとしたのだ。そこからの人々は見るに堪えないものだった。完成された薬は破格の値段がつき、ブームに過ぎなかった移住が本格的なものへと変わった。国会ですら東京を捨て北海道へと移ったのもこの頃だった。日本人は花粉が多い地域を捨てたのだ。残ったのは花粉病予備軍ではないアレルギーが無い人。それに運が無く、薬も移住も出来なかった人々だった。花粉が多い地域が緑に覆われるのも時間の問題であったのだった…。


「ちょっと!またパソコンに向かってるの?そんな時代遅れの機器を使って。長官が呼んでるわ、早く行きましょ。」
後ろから声がした。集中し過ぎてしまった。私が文字を打ち始めてから約1時間半が経とうとしていた。
「すぐ行く!先行っててくれ!」
「私よりパソコンのが大切なのね!ふんっ」
私はパソコンのデータをUSBに移すと、シャットダウンを始めた。…先に行っておくが彼女は恋人ではない。相棒、バディというやつである。あの俺をからかう性格は直して欲しいものだと思う。
そうこうしてる内にシャットダウンが終わり、私は急ぎ足で長官室へ向かった。自慢ではないが私は他の人より早歩きには自信があるのだ。まぁ、どうでもいいことなのだが。なぜ長官に呼ばれたかはおおよそ見当がついている。正確に言えば内容の見当はついているのだ。
「確か予定は明日だったはずだけど…」
独り言を呟く内に長官室の前に着いた。縦にも横にも施設の中央に存在しているこの部屋は他の部屋とは違う緊迫感があるというものだ。私は唾を飲み込むと、長官室の戸をノックした。

 

 

続く。

 

あとがき:少し日が空いてしまいましたが、2話でございます!正直なところ大きな展開は頭の中で決めてあるのですが、その間の細かな部分に苦戦しております(苦笑)簡単な次回予告としまして、長官室で話されることとは!そもそも登場してる人はどんな人?というところを読者の方にも考えてお待ち頂ければ幸いです。

それではまた別の文章で。