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僕の心の言の葉。

短い自作小説、作文のブログです。多くの人に言葉が届いてくれたら嬉しいです。

『日々を変えたくて』

 その箱は私を憂鬱へと運ぶ。

学校や仕事、バイトなど私を目的の場所へと運んで行く。道中で私は僅かな休息を取った。それで疲れが取れるかと言われればそれは否である。所詮気休めだ。いつも通りの時間にいつも通りの場所に私は目的の場所に到着した。いつも通りの日々が今日も始まった。

 

 その箱の存在が私の憂鬱になる。

時間を確認するのが億劫になる。このまま家でのんびり過ごしたいのに。その思いとは裏腹に私は今日も玄関のドアを開けた。大丈夫。所詮いつもと変わらない日々が待っているだけだ。私は自分にそう言い聞かせた。

 

 ある日私はいつものように箱の中にいた。

それは夕暮れのことだった。いつもと変わらない道のりで私は偶然美しい景色と出会った。川に、落ちていく太陽の日差しが差し込んで水面が美しく輝いているようだった。オレンジ色の流れ。それは子供の頃、友人と自転車の上で見た懐かしい景色に似ていた気がした。少し涼しいくらいの吹く風が、自分のどこに眠っていたのかも分からない遠い昔の記憶を思い出させたのだ。それは箱の中では起こり得ないことだった。

 

 その箱は私をどこへ運ぶのか。

今まで気づかなかった。目的地へ行く手段に過ぎなかったその箱は、私の可能性へと変わった。時間に余裕がある時は意味も無いところで降りたりした。もちろん本当に意味が無い時もあった。でもいろんな発見もあった。ここは空気が綺麗だとか。ここにちょっとおしゃれなカフェがあるなとか。たまたま立ち寄った古本屋で昔欲しかった本を見つけたりした。

些細なことだが、全て箱が私を導いてくれた。

 

 その箱は私を変える。

いつもと変わらない日常を変える可能性を持っている。あと必要なのは少し道を逸れてみる勇気と自由な時間。それがあれば貴方の日常の中にも新たな発見があるのかもしれない。

 

 

あとがき:私は電車を使うことが多いので最初は箱=電車のつもりでした。でも車もバスもそういった乗り物は全て便利である代わりに私達を箱の中に一時的に閉じ込めます。たまには歩いて周りを見てみるのも良いかもしれません。

そんな偶々違う駅で降りた時に思った私の心でした。

それではまた別の文章で。