僕の心の言の葉。

短い自作小説、作文のブログです。多くの人に言葉が届いてくれたら嬉しいです。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『花粉病』2話

1年後。薬が治験途中ながら完成した頃。花粉は突然変異を遂げた。1番の変異は繁殖力であった。花粉は人の技術を、数の力でねじ伏せようとしたのだ。そこからの人々は見るに堪えないものだった。完成された薬は破格の値段がつき、ブームに過ぎなかった移住が…

『想像力豊かな少年のお話』②

僕は雨が嫌いです。まるで昨日まであんなに晴れやかな顔をしていたお空が泣いてるように見えるんだもの。 「どうして泣いているの?」 僕はお空に聞きました。お空は何も答えてくれません。ずっとずーっと涙を流しているばかり。 「話してくれなきゃ分からな…

『花粉病』1話

時は2×××年。現在の地球では科学や医療が発展し、機械化や自動化が過去の人々が頭に描いたものが現実となっていた。そのため、人類の寿命はさらに延び高齢化がより問題となるだろうと思われた。しかしである。そうはならなかった。勿論先述したように医療は…

『とある19時15分に』

人が右へ左へと流れていく。私はただ一人で立ち竦み、その人の波に困惑するばかりだった。スーツ姿の男性。笑顔だ。これからデートでもあるのだろうか。大きな荷物を持った女性。これからどこか旅行へでも行くのだろうか。全ての人に何かしらの物語があると…

『全てを言うのは難しい』

頂きます。私は手を合わせて小さく呟き、一口目を口へと運んだ。美味しい。私はそう思った。しかし、美味しいだけでは具体性がない。どんな味がするのか。どんな匂いがするのか。そういった細かく感じた要素が集まって、私達は美味しいと思うのである。ただ…

『想像力豊かな少年のお話』①

僕は広大な高原の中に居ました。草が青々と生い茂り、空には綿飴の様に柔らかな雲が漂っています。 遠くの方に羊の群れが有りました。ここからでは正確な数は分からない程の大きな群れです。良く見ると柵が有ります。しかしすぐには気づかない程の低い柵でし…